地平の全てを恐怖させた世界の敵、“本物の魔王”を、何者かが倒した。
その一人の勇者は、未だ、その名も実在も知れぬままである。
恐怖の時代が終息した今、その一人を決める必要があった。

世界最大の都市――黄都を目指して、強者たちが集いつつある。
そこで勝ち進んだ一人が、『勇者であった』ことになる。
これより始まる新時代に、英雄の偶像を作り出すための大試合である。

二十五年の長きに渡り、魔王に苛まれてきた、遥か果ての現実。
一つの脅威を前に全種族が強さを求めた時代は、あるいは魔王以上の脅威を産んだ。
彼らが求めた物語が唐突に終わりを迎えた時、そこには闘争の場を求める修羅だけが残る。

――今、修羅の名は十五名。
柳の剣のソウジロウ。
星馳せアルス。
世界詞のキア。
無尽無流のサイアノプ。
静かに歌うナスティーク。
地平咆、メレ。
音斬りシャルク。
絶対なるロスクレイ。
不言のウハク。
魔法のツー。
冬のルクノカ。
黒曜、リナリス。
窮知の箱のメステルエクシル。
おぞましきトロア。
逆理のヒロト。