プライベートで島田さんと食事することもある岡村だが、やはり芸能界を引退せずテレビに出続けて欲しかった―という思いは消えることはない。テレビ画面を通して久しぶりに動く島田さんを見ながら「今でもいてはったらどうなってたのかなぁ、テレビもどうなってたのかなぁ」と思わずにはいられなかったのだ。
また後輩芸人への指導が熱心だった島田さんがいれば、お笑いの世界も「いろんな風紀も乱れなかったはずだ」と断言する。仕事現場の島田さんは後輩に厳しく、ミスがあれば「それちゃうで」と本気で怒るという。トークの最中にどのタイミングで出ていくのか、待てばいいのか、常に現場の空気は張り詰めており「ここでちゃんと答えなアカン」、「ここで、変なこと言うたらアカン」と島田さんの喋りに皆、真剣に耳を傾けていたそうだ。岡村は当時を振り返り、それは心地よい緊張感だったと懐かしむ。
「ホンマに、もう理不尽な若手をシバいていくから」と話していた島田紳助さんのやり方は、今の現場では通用しないのかもしれない。それでも岡村隆史は「(島田さんが)いてはったら、また違ったやろなぁ」と“もし”を繰り返し、彼がバラエティ番組の現場から去ってしまったことを惜しんでいた。