「日本はマナー大国」に疑いの目も…“3年ぶりの訪日”で外国人の日本評に変化
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3年の空白を経て少しずつ回復に向かいつつあるインバウンド・ツーリズム。日本政府観光局(JNTO)によると1月の訪日客数は149.7万人で、コロナ前の2019年1月比で56%の水準まで戻ってきた。一方で、日本はいまだ魅力的な旅行先であり続けているのだろうか。訪日旅行客の目に映る日本の今を追った。

● 浅草はやっぱり不動の地位 自販機にも興味深々

 1月上旬、正月ムードの浅草では浅草寺の境内に多くの屋台が立ち並んでいた。定番の「お好み焼き」や「焼きそば」に加え、「揚げ餅」「鶏の唐揚げ」など、気軽に食べられるフィンガーフードも訪日観光客の関心をひいている。

 ここでは、くし刺しにした「アユの塩焼き」を黙々と食べるドイツから来たという男性と出会った。立て続けに2本も平らげており、さらに3本目の購入におよぼうとするので、なぜ「アユの塩焼き」にこんな執着を見せるのかと、不思議に思って尋ねてみた。返ってきたのはこんな答えだった。

 「これなら“混ぜ物”がないからね。僕たちは食品が自然由来かどうかにこだわるんだ。正直なところ、日本の量販店で売られていた国産のお菓子の種類に驚いたよ。それっていろんな化学調味料を加えて味や触感の違いを出してるってことだよね。日本の食品はおいしくて安いけれど、日本は添加物への規制は欧州よりも緩いと聞いたことがある」

 ちなみに、ドイツでは「買ってきたばかりなのに腐っている食品」もたまにあるそうだ。「プレッツェルも5時間後にはカチカチ」になってしまうというが、「そういう方がむしろ安心だ」と彼は話していた。

 コロナ禍で意外な注目 日本人は意外とマナーがない?

 コロナがまん延した2020年春、中国のSNSでは東京のゴミ問題が話題になっていた。このコロナ期間中に「東京の街が汚くなった」というのである。指摘のとおり、この間はコロナ対策で飲食店の営業時間が制限され、店から出た客による駅の周辺での「外飲み」が増えたこともあり、翌朝は酒類のビンやカンが散乱するようになった。

 実は、このゴミ問題は「都心にはゴミ箱が見当たらない」ことに起因している。パトリックさんは「スタバでコーヒーを買ったら最後、一日中これを持ち歩く羽目になる」と嘆いていた。「東京は公共トイレの数が多くて自分の母国より便利だが、ゴミ箱の数は少なくて本当に困る」と話していた。

 一方で、日本人といえば「マナーありきの国民性」で知られていたが、最近は「マナーのなさ」が指摘されるようになった。中国籍で各国に事業拠点を持つ厳さん(仮名)は会員制トレーニングジムの愛用者だが、「世界各国で同じチェーンを利用しているが、東京のジムは注意喚起の張り紙が多くてびっくりした」という。

 中国や台湾からの観光客の間では“電車内の日本人のマナー”がよく話題に上るのだが、「高齢者に席を譲らない日本人男性が目に付く」と評判が悪い。また都心では“スーツを着た酔っ払い”は、「中国ではあり得ない」(中国からの訪日客)という理由から、大変珍しがられている。