「トルコ人優先の救出」に抗議すると集団暴行で鼻を折られ…地震被災地で高まるトルコ人とシリア人の対立
https://news.yahoo.co.jp/articles/e0432aec402ead0d1bbe603f72be9c6c6501510c

トルコ・シリア大地震の死者数が4万人を超えた。地震発生から10日以上が過ぎた今も行方不明者の捜索が続いている。トルコには隣国シリアからの難民が多く暮らしているが、被災地の一部ではトルコ人とシリア人との対立が深まっている。ドキュメンタリーフォトグラファーの小松由佳さんは10年ほど前からトルコ南部で取材してきた。さらに、この地域にはシリア出身の小松さんの夫の親族が大勢暮らしている。震災直後から現地と連絡をとり続けてきた小松さんに聞いた。

今回の地震でもっとも被害の大きい都市の一つがトルコ南部、ハタイ県の県都アンタキヤだ。この街は今回の地震で大きくズレ動いた東アナトリア断層のほぼ真上に位置する。

「高層ビルの多いアンタキヤにはまだ大勢の行方不明者がいます。私の夫のいとこの家族も就寝中に生き埋めになってしまい、まだ見つかっていません」

 小松さんのコーディネーターを務めてきたアブドュルラフマンさんの友人の家族もアンタキヤのマンションで暮らしていた。しかし、建物が倒壊し、家族全員ががれきの下敷きになった。

 アブドュルラフマンさんは救援隊に重機を使った捜索を依頼した。ところが、捜索を後回しにされてしまった。被災者がシリア人だったからだ。

「捜索はトルコ人が優先で、埋もれているのがシリア人だとわかると後回しされました。それに抗議すると、トルコ人の集団とけんかになり、鼻の骨を折られたそうです」

被災現場から救助されたトルコ人は重症のけがを負っていれば、ヘリコプターなどで搬送されるが、シリア人は大けがでも入院が許されず、重症化したり亡くなったりするケースも出ているという。

「私が聞いた話では、複数の骨折をしたシリア人が病院に搬送されましたが、トルコ人しか入院が認められず、家に帰されてしまいました。家には暖房のための薪がなく、寒さのなか、容態が悪化して亡くなったそうです」