林徹とかいう実はめちゃくちゃなやつ


 今年3月1日、林徹は調教師として美浦トレーニングセンターに開業した。開成高を経て東大卒。経歴を見るに学業エリートそのものだから、「異色」の2文字はつきまとう。

「開成に行こうなんてまったく思ってなかったんです。実力試しで受験したら受かってしまって、親もその気になっちゃった。ほかに行きたい高校があったので大ゲンカしました」

 予備校には一切行かないでいいという言質をとり、林は譲歩した。野球部の活動には励んだが、勉強はしなかった。模試の結果は「東大E判定」。だが浪人を覚悟して受けた入試で、なぜか合格した。

テストで落第しても研究室の大掃除と引き替えに単位をもぎ取り、4年で卒業にこぎつける。さらに「受かるつもりのない」大学院試験に落ちたことを口実にして、猛反対する親を説得した。