殺人に対する考え
ミツハは「武器は用意しても、人を殺せるのか」という命題に対して「殺せるよ、普通に。何か殺しちゃいけない理由でもあるの?」と明確な答えを用意している。
刀狩令、廃刀令、銃砲刀剣類所持等取締法を経て一般市民の武器所持を完全に禁じて、刑法や特別刑法が整備された法治国家の現代日本で生活している分には決して考えもしないだろうが、中世並みのそれも室町幕府以前のような治安状況と軍事力・警察力が貧弱な異世界で生活するとなれば話は別である。検非違使や六波羅探題、火付盗賊改方といった凶悪犯罪担当の警察軍が存在しないばかりか、内務省以下の刑事警察の組織自体存在しない異世界で、正当防衛の範囲が拡大解釈されがちな状況においては意識せざるを得ない考えだ。
「相手の命を尊重しろ」「捕らえても殺さず諭せばいい」などという考えはミツハには微塵もない。結局は逃がした途端に襲いかかってくるか、また他の人を襲うだろうというのが理由だ。「普通の人は殺さない」「人間の道を外れちゃったら、『外道』って言って、それはもう人間じゃない」「外道じゃなくても、敵の兵隊さんも殺して良し」という明確な線引きをしている。
突き詰めると「私に攻撃をする以上は自分自身も同じ目に遭う覚悟をしているのだろう?」というのがミツハの哲学である。[注 25]
実際、帝国侵攻時にアイブリンガー侯爵を暗殺しようとした刺客を射殺し、領地へ赴任する際に乗車した乗合馬車が盗賊に襲撃された時には数名を射殺しており、コンバットプルーフは既に完了している。
ミツハの脳内交戦規定はザル法なので、「不殺」をモットーとする浪人者の漫画に登場する元新撰組三番隊組長で警視庁警部補の「悪・即・斬」に近い攻撃姿勢である。