清原の遅れているところは、スイングのスピードだ。いまのスイングでは速い球についていけない。内角球に苦しむ、となると一流の打者の資格がないことになる。救いは、清原の体がまだ少年のそれであることだ。スイングのスピードは、下半身の強化と、ムダな力を抜くことで改善できる。スピードの根源は、下半身からの瞬発力にある。三、四年たったあとの清原が楽しみだ。

 この一年目、清原はそこそこに打つだろう。合格点である打率二割五分にはたぶん達すると思う。いまのパ・リーグにはほんとうに速いピッチャーはいない。清原のいまのスピードでも、とりあえずついていける。これは強運のひとつともいえようが、将来の大成を考えれば、危険な落とし穴と紙一重でもある

週刊朝日『プロ野球・野村克也の目』(1986年4月4日号)