韓国人初のメジャーリーガーである朴賛浩(パク・チャンホ)氏。日本で講演会を開いた際に彼は言っていた。

「イチロー選手がメジャーリーグで打ち立てた記録は、とても意義があります。これまでは誰も東洋のアジア人が打ち立てた記録を目標にせず、アメリカ人選手の記録ばかりを追いかけていましたが、これからは世界中の子供たちがイチロー選手の打ち立てた記録を目標にする。イチロー選手が世界中の子供たちに、新たな目標を与えたわけです。この意義はとてつもなく大きい」

アトランタ・ブレーブスでもプレーした奉重根に至っては筆者にこんなエピソードを教えてくれた。「僕はイチロー選手に憧れ、高校時代から背番号51を付けてプレーしたんです。プロになっても韓国代表でも51番にこだわりました。自宅のリビングには、アトランタ時代にイチロー選手からプレゼントしてもらったサインボールが飾ってあるんですよ。そのボールを話の種にしながら、いつか息子と思い出話をしたいと思っています」

韓国人にとって、イチローは愛憎の対象だった。憎たらしいが、偉大すぎて認めずにはいられない男だった。だが、今ではそうした複雑な感情は薄れつつある。

先月、久々に話を聞いたWBC韓国代表監督・金寅植(キム・インシク)監督も言っていた。「本当に大した選手ですよ。凄いの一言に尽きる。野球界の“生きた手本”です」
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinmukoeng/20190323-00119225