大谷翔平の哲学「僕の二刀流は生まれ持った才能のお陰じゃない。
24時間は皆に平等であり、僕はあなたより野球に時間を使っただけです」
2018.11.26
「社食に行きましょう」2015年、オールスターの初戦に先発登板したその日の夜、彼はフジテレビのスポーツ番組に生出演してくれました。番組終了後、出演してくれた御礼に軽く食事に行きましょうと、番組スタッフがお店を予約しようとしたところ、彼はこう答えました。
「お店は予約していただかなくて大丈夫ですよ。僕はフジテレビの社食に行きたいです。社食に行きましょう!」
その10分後、大谷選手は夜深い時間のお台場フジテレビの社食で、社員に混じりながら美味しそうに牛丼を頬張っていました。
食事が終わり、社屋を出る時に「大谷君、本当に社食で大丈夫でしたか?」と聞くと、彼は、「田中さん、大丈夫ですよ。こういう会社の社食にも興味がありましたし、満足しています。それに本音を言うとお店へ向かう移動時間のことを考えて社食にしたんです。時間がもったいないので」と笑顔で答えました。
 彼が何気なく話した「時間がもったいない」というフレーズが、今でも僕の脳裏に焼き付いています。二刀流を実現できた裏側には、彼の時間に対するこだわりがあったのです。「ナイターで18時にマウンドに上がる時にはすでに、翌日のタイムスケジュールがすべて頭の中に入っている」と言われているのもよくわかる気がしました。
「翔平のプライベートな時間は、二刀流を続けるためにある」「自由時間はすべて、自らを高めるために使っている」こう語るのは、日本ハム時代に大谷翔平と同じ5年間を投手コーチとして過ごした黒木知宏氏。
プロの中にも大谷翔平を才能のお陰だと揶揄する野球選手は多いと言います。しかし彼は「24時間は平等であり、それをいかに効率よく使い、より長くを野球に注いだか。それが技術と確信的な結果になる」という持論を体現し続けてきたのだと言います。