マルチ商法トラブル、「20代」が4割超 「やりがい」感じる若者も
https://news.yahoo.co.jp/articles/3afe6a83ae0b4ec61bc7f3274688904c5a05432f

連鎖販売取引(マルチ商法)をめぐるトラブルで、若者が関係する相談割合が増加している。国民生活センターによると、契約者の年代別の相談件数は「20代」がここ10年ほど最多となっており、近年は毎年4割を超える状況が続いている。

 2012~21年度の10年間の相談件数は、平均で1万件超。うち、20代が契約者となっているケースは、12年度は3割弱だったが、18年度に40・4%と4割を超えた。

 20、21年度は、全体の相談件数がやや減少したが、化粧品関係の相談が減ったといい、コロナ禍が関係している可能性もある。それでも、20年度は46・6%、21年度は43・7%が「20代」だった。

 センターによると、20代に関する相談者の約3割は親や友人など本人以外からで、「息子がマルチ商法の契約をして消費者金融を利用している」「やめさせたい」といった内容も目立つという。

■マルチが若者の「居場所」に

 マルチ商法は、金銭を徴収し配当するネズミ講とは異なり、商材の売買を伴うため違法ではない。だが、「誰でももうかる」などリスクを説明しなかったり、社名を告げずに勧誘したりといったトラブルは絶えない。

 マルチ商法の問題に取り組む青木歳男弁護士は、はまっていく若者の特徴として「経済面の不安だけでなく、将来像の欠如がある」と語る。

 自己肯定感が低い状態で、打ち込むべきものを示されて評価されると、やりがいを感じてしまう。仲間と励まし合う環境が「居場所」となってしまうのだという。

 青木弁護士は「収入が得られないことを理由にやめるよう説得しても、本人には響かない」と指摘。周囲の対応の難しさという点でも「カルトと似ている」と話す。