米国でリベラルアーツ大学の衰退が著しい。
つい最近も2月にバージニア州のメリーマウント大学が、英文学や歴史学、哲学、社会学などの専攻をなくすことを決めた。全部で10の専攻が削減されたが、そのほとんどがリベラルアーツだ。
これらの学問は人気がなく、専攻する学生が少ないからだという。講義科目としては残るが、専攻したりその学位を取得したりすることはもうできなくなる。
メリーマウント大学だけではない。
高等教育について報じるメディア「ハイアー・エド・ドライブ」の調べによれば、米国では2016年以降、87校ものリベラルアーツカレッジが閉鎖、あるいは近くの大きな大学に合併された。
死に絶える要因は二つある

米ニュースサイト「アクシオス」は、こうした状況を「リベラルアーツ大学の死が始まった」と伝える。
「非効率性とディレッタンティズムの最後の砦といえた米国の4年制リベラルアーツの大学だが、幸か不幸か、資本主義には抗しきれずに死に絶えつつある」
ディレッタンティズムとは芸術や学問を趣味として楽しむことであり、厳しい資本主義社会ではそんな道楽にふけることさえ許されなくなったようだ。
アクシオスによれば、リベラルアーツが死に向かう要因は二つある。
第一に物価高だ。大学も授業料を引き上げているが、たとえば英文学科というものはそれに合わせて卒業後の生産性を簡単に上げられる分野ではない。つまり、事実上の値上げになっており、ただでさえ負担の大きい学生ローンの返済にさらに苦しむ未来が想像できてしまう。
第二に機会コストの上昇だ。米国では多くの仕事で大卒の学歴を求めなくなってきている。つまり、大学へ進学するよりも、その4年間に仕事をして稼げるであろう金額が著しく上昇しているのだ。
この二つを考慮して頭の中でそろばんをはじいた結果、米国の学生はすごい勢いでSTEM(科学・技術・工学・数学)分野に流れている。