チェコの乾いた大地を疾走するトラックの車内。
「ところで相棒、バックミラーにかかってるこの金色のメダルは何なんだ?」
「いや、ちょっとしたお守りみたいなもんさ」
「おい、ちょっと待てよ。これ、本物の金じゃねえか!」
「そんな目で見るなよ。昔、あるスポーツの大会でもらったのさ。そう、俺はWBC本選に出たんだ」
「WBC?冗談よしてくれ。あれは選びぬかれたベースボールのエリートだけが出られる大会だろうが。
お前みたいに一日中トラック転がしてる奴がどうやってWBCに出るんだ?」
「それもそうだよな、ハハハ。」
「わははは」
しかし、遠い地平線を見る運転手の青い瞳には、ある一日の光景が焼きついていた。