2ボール0ストライクとバッター有利のカウントで3球目! 打者がボール球を見送るやいなや、キャッチャーはすかさず三塁に矢のような球を投げてきたのです。
三塁ランナーの僕は帰塁できずにタッチアウト。ミスをしてチャンスを潰してしまった僕は次の守りから即交代。
激怒した監督からはベンチからも出ろと外されました。

 試合後、落ち込む僕に近付いてくる牧原さん。「うっわ! 牧原さんにも怒られる」とびびっていたのですが、その時の牧原さんは「どんまい、キャッチャーエグいな、次ミスるなよ」とひと声。

 本当に野球に対しては厳しい方なのですが、この時は何故か優しい笑顔で、優しい口調で、声をかけてくれました。あの時の笑顔は今でも鮮明に覚えています。

 あの牧原さんの言葉と笑顔で、その後僕はもう一度奮起する事ができました。牧原さん達の最後の夏もレギュラーとして試合にでることができました。

 そして、じつはこの試合の相手キャッチャーは、大分・楊志館高校の甲斐拓也選手だったのです。
まだプロ入り前の「甲斐キャノン」の餌食に。今となっては、ちょっとした自慢です(笑)。