岸田文雄首相がウクライナを訪問した際、「必勝」の文字が書かれたしゃもじをゼレンスキー大統領に贈ったことについて、24日の参院予算委で野党議員が「日本がやるべきは和平。不適切だ」と問題視する場面があった。首相は「祖国を守る努力に敬意を表したい」と語った。

 首相がゼレンスキー氏に贈ったのは、首相の地元・広島名産で木製の「必勝しゃもじ」。松野博一官房長官が23日の記者会見で、折り鶴をモチーフにしたランプとともに贈ったと明らかにしていた。このしゃもじは「敵を飯とる(=召し捕る)」との意味が込められた広島の縁起物で、高校野球やサッカーなどの広島代表チームの応援の際にも用いられる。

 立憲民主党の石垣のりこ氏は「選挙やスポーツではない。日本がやるべきことはいかに和平をおこなうかだ」と指摘。ウクライナでは多くの犠牲者が出ているとし、「その戦場に行って『必勝』というのはあまりにも不適切だ」と批判した。

 首相は「地元の名産の意味を私から申し上げるのは控える」としたうえで、「祖国や自由を守るために戦っている努力に敬意を表したいし、ウクライナ支援をしっかりおこなっていきたい」と語った。(安倍龍太郎)
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