さて、5つの国のコンセプトアートが完成しました。ついに国作りが始まります。
最初に作り始めたのは、恐らく一番登場が多いであろうシュゴッダムの国です。
ん? 国を作る? 一体どうやって??
『王様戦隊キングオージャー』における、いわゆるアセット(デジタル的に3Dで作られた空間やオブジェクト)は、ゲーム制作エンジンであるUnrealEngineによって作られます。
コンセプトアートを元に、まずはどれくらいの広さなのか、どんなバランスで構築されているのか、人間との対比は?など、大雑把な空間の概念を監督が制作しました。以前紹介したコンセプトアートのお城の高さを街の位置より高くするため、通称・機械樹という内側がエレベーター状になっている円柱で城の四方を囲み、そこから通称・剣の道をお城に向かって延ばすことになりました。
さらに、街の中央に位置する広場にはクワガタのシュゴッドが鎮座します。これも人間と比べてどのくらいの大きさにするかなど、実際に撮影をする際に必要になる計算をあらかじめしながらブループリントを制作していくわけです。
ここまでくると実際にアセットを制作してくれるスタッフに発注するということになります。上堀内監督が作った、クワガタがいるシュゴッダムの広場の発注メモの一部を紹介します。

【広場】
※ベンチ、街灯2種、地面、縁石は美術部で作成。
・アーケードのある建物に囲まれている
・建物は装飾含めMAX12m
・あまりカラフルな建物にならないように。
・建物に国章が入った旗。
・クワガタオブジェと機械樹幹は石化バージョン
・オブジェ土台に説明板(文字原稿は追って提出)
・広場両脇と奥に道
・サイドか後ろの建物上から街壁見えたい。
・街灯は虫の形をしていて美術、CGが混在。

こういったディテールと共に、幾度となくリモート打合せを重ね、ついにシュゴッダムの国造りは始まりました。
想像はしていましたが、やはりその大変さは予想以上でした。
美術部とのコラボ、ミリ単位で寸法を情報共有するためのシステム構築など、まだ誰もやったことのない制作経験は、本当に困惑の連続でした。
でも、そんな疲労感も、どれもこれもすべて、アセット第1弾が上がってきた途端に吹き飛びました。つづく(文責 大森敬仁)