4月23日に投開票される衆院山口4区の補選に向け、安倍晋三元総理の妻・昭恵さんと、彼女が推挙した元下関市議の吉田真次氏が動き出した。だが、足元はグズグズだ。同郷の自民党の大物・林氏の陣営と完全に決裂してしまったのである。

 山口自民党は安倍派と林派に二分されているが、最近まで「補選では両派が協力して吉田氏を勝たせ、区割り変更が行われる次の総選挙では林氏が立ち、吉田氏は比例に回る」というシナリオで合意していたという。

 「ところが、いきなり昭恵さんが林陣営にケンカを売ってしまった。2月頃、陰で昭恵さんが『(補選で吉田氏が)8万票取れば(新しい選挙区に)林さんも入ってこれない』と言っていたという話が地方紙ですっぱ抜かれたのです」(自民党山口県議)

 林派やその支持者は激怒。党一丸で吉田氏を支える雰囲気は消え失せた。

 「3月5日に岸田総理が吉田さんの集会に来た時は、総理が会場を出ると同時に、最前列に座る林派の下関市議たちが一斉に立ち上がって退席した。吉田さんの演説はまだ終わっていなかったのに、ですよ」(前出と別の自民党山口県議)

 地元の下関市議会では林派が多数派を握り、下関の企業にも林系が多い。林氏の協力を得られなければ、弔い合戦といえども、ポッと出の吉田氏は苦戦を強いられる。

 「今回は立憲の有田芳生さんら、野党に流れる支持者も多そうです」(前出・旧安倍後援会関係者)

 昭恵夫人の思わぬ失言で、安倍家の地盤は消滅の危機に瀕している。