イチロー選手のことが気になって、気になって、初めて自分のお小遣いで本を買った。それが、イチローのすべて という本だった。夢中になって読んだ、中学2年生のときのことだった。
そんなとき、鹿児島にイチロー選手がきた。
まず、シートノックを見て、ぶったまげた。肩、強えなぁ。
ホームランも打った。おれはちょうど一塁側のベンチのすぐ上の席に座っていた。ヒット2本と、ホームラン。
イチロー選手は細い体をゴムみたいにしならせて、右中間へ特大のホームランを打ったんだ。
イチロー選手はおれにとっての宇宙じゃなかった。もっと、もっと近くに見えた、光だった。