全身藤岡


4か月ぶりの実戦になるこの中間は坂路中心で入念に乗り込んできた。15日には4ハロン51・3―11・6秒の破格タイムをマークして脚力の違いをまざまざと見せつけた一方で、22日の1週前追いはウッドで3馬身ほど追走したとはいえ、格下に手応え、脚色で見劣る形の併入(6ハロン84・2―11・5秒)に。ラスト1ハロンの時計は及第点を与えられるが迫力を欠いたのは否定できない。

 さすがに藤岡調教師も「太いな。まだ物足りない感じがあって動き切れていなかった。週末にもやってレースまでにどれだけ絞れてくるかだろうね」と微妙なトーンだったが、もともとが「詰めて使うと良くない馬」。
昨年は「金鯱賞を勝って中2週のローテーションが影響した」となれば、間を空けたこと自体はプラスに働くはず。
最終追い切りには武豊が騎乗予定で、ここで天才が刺激を与えればキッチリ態勢は整うだろう。

 前回の香港Cに関しては「環境も変わったし、いつもと違って坂路を使えないなど調整パターンも違ったからね。悪いわけではないけど馬ができていなかった」とトレーナーが振り返るように初の海外遠征で勝手が違う部分があり、レースでもスタートのタイミングが合わず中団からになって持ち味を出せない形。
同じレースに出走したサウジC覇者パンサラッサでさえ行き脚がつかなかったように馬場コンディションも多少は影響していた。そんな状況下で、最後の直線は2着ダノンザキッドと並ぶ形で一瞬反応して同馬から0秒4差。
自分の形に持ち込めていれば結果も違っていたはずだ。あの負けに対して陣営に悲観の色はない。

 昨年の大阪杯は前記したようにローテがきつかった上、「(良発表も)馬場が悪い中でペースも速くなって落鉄がありながらも差はなかったからね。札幌記念を見ても番手からの競馬もできるけど、スピードに特化したレースをしても強いから。休み明けでフレッシュだし、昨年の感じでいければ十分に勝てる」と藤岡師。
ドバイシーマクラシックを圧勝したイクイノックス、昨年のダービー馬ドウデュースなど、超一線級が不在のここは負けられないくらいの気持ちでいる。