「気が狂いそうだった」栗原陵矢が乗り越えた手術は一度ではなかった

地獄のような日々を乗り越えたからこそ、復活への思いは強い。実は昨年、栗原は3度の手術を受けている。1度目は左膝関節前十字靱帯(じんたい)再建術および左膝関節外側半月板縫合術という大がかりな手術だったが、その後も手術箇所に菌が入るなどし、1カ月もたたないうちにさらに2度メスを入れた。

 術後も精神的タフさを求められた。1日7度の点滴治療を1週間。さらに左膝の可動域が狭まらないように就寝後は数時間おきに目覚ましを鳴らし、左膝の位置を入れ替えた。「野球はもうできないと思った。気が狂いそうだった」。その苦しみを無駄にはできない。