銃撃事件を巡っては、奈良市議会で自民党系会派の市議が現場保存の必要性を訴えた。事件を後世に伝えることが政治家としての使命だと考えたからだ。訴えは聞き入れられなかったが、市議は「現場付近にプレートを設置するなど、これからもできることはある」と言葉に力を込める。

「事件現場は歴史に残る場所。起こったことを消せるわけではない。世界中の人がこの場所を訪れる。現場を表すモニュメントは必要だ」

3月6日の市議会定例会の代表質問で、自民系会派の森田一成市議(64)はこう訴えた。だが、仲川げん市長は「現場部分を純粋に保存することは難しい」と述べ、現場に何も設置しないとする従来の姿勢を崩すことはなかった。

森田市議はさらに、現場付近のアスファルトを保存したり、現場が車道にならないように歩道を拡張したりすることも要望したが、いずれも「調整が難しい」として受け入れられなかった。「このままでは奈良市に大きな汚点を残してしまう」と嘆く。