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「嘘つき」失敗を重ねたプロ3年間

 彼がプロ野球選手として過ごした3年間、筆者はその一部始終を見てきた。しかし、当時の彼はお世辞にも褒められるような選手ではなかった。

「嘘つき」とまで言われた理由。その発端は、2006年のオーストラリア春季キャンプ中のある出来事だった。

「1年目のオーストラリアキャンプで、(球団から)減量指令が出たんですが、その矢先に、球場からホテルに向かう帰り道にあったファストフードで、両手に抱えるほどのチキンをホテルに持ち帰ったんです。そのとき、コーチに『お前、痩せなアカンって言われているのに、それ持って、なにしとるんや!』と見つかったんです。そこで、咄嗟に『先輩に買って来てと言われました』と、隣にいた先輩を売ってしまった。それが(後々)チーム内で広まっていって『こいつ嘘つきやな』って。最初の大失敗ですよね」

 高校時代は103キロだった体重が、プロ入り時は112キロまで増えた。けっして鍛えて大きくなったわけじゃない。ただの準備不足である。当然、ロッテ首脳陣からは減量指令が出されていたが、その意識の低さに周囲が呆れかえっていた。