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京田は明確にある
こんなこともしてる

ドラゴンズからトレードでマリーンズ入りをした加藤匠馬捕手は下ろしたての真新しいかばんを大事そうに持ってZOZOマリンスタジアム入りをした。そのかばんには後輩の想いがこもっていた。

 「トレードが決まった時に京田が餞別(せんべつ)にとプレゼントしてくれました」

 加藤はうれしそうに話をしてくれた。サプライズだった。トレードが発表された夜、自宅のチャイムが鳴った。ドアを開けると2歳下の京田陽太内野手が神妙そうに立っていた。驚いた。わざわざ車で30分ほどかかる距離があるにも関わらず、自宅まで惜別品を渡すために来てくれたのだ。そして「お世話になりました」と言うと新品のかばんをプレゼントされた。「ありがとう。大切にするよ。オマエも頑張れよ」。笑顔で別れた。

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 もう一人、わざわざ会いに来てくれた後輩がいる。こちらも2歳下の柳裕也投手だ。何度となくバッテリーを組み、一緒に泣き、一緒に笑った間柄。1軍にいるにも関わらず、2軍本拠地のあるナゴヤ球場にその姿があった。

 「直接、あいさつに来たいと言われていました。泣いてしまうから、いいよと言ったのですがわざわざ来てくれた。うれしかったです」

 柳とは球場で抱擁しながら別れを惜しんだ。京田はナゴヤ球場の駐車場まで見送りに来て、姿が見えなくなるまで手を振ってくれた。年が近いこともありいつも一緒に練習をして悩みを共有しプライベートでも共にしてきた仲間たち。別れは寂しいが、この移籍は大きなチャンス。泣きそうになる気持ちを抑え切り替え、前に進んだ。

 「グラウンドはもちろんグラウンド外でも仲良くさせてもらった。よく話をした。年下だけど、友達のような感覚だった。他にもたくさんの人からLINE(ライン)などで連絡をもらった。ビックリするほどたくさんの人から連絡をいただきました。本当にうれしかった。愛してもらっていたんだなあと改めて実感しました」