現役時代にコーチにされて嬉しかったこと、逆に邪魔だったことを書き出した結果、後者の方が多かったという吉井氏。それゆえ、選手の嫌がることはしない、を基本に指導を行なっていたという。

 中でも嫌だったこととして、特に気にかけていたことが、選手への「アドバイス」だ。

「選手は選手で自分のプレーについて考えている。良いプレイヤーほど自分を客観的にみれる力があって、自分でどうしたら良いかをわかっている。そこを上からアドバイスしてしまうと、迷いが出ることもある。そうなると、せっかく良い方向へいっていたところを邪魔してしまうことがあるんです」

吉井氏はコーチングをする上での難しさとして、選手とのコミュニケーションについても言及した。

 選手はそれぞれ感覚が違うため、技術的なアドバイスは慎重に行わないと、その選手を潰しかねないという感覚を持っていたとし、選手からは会話の中で話を聞き出し、その感覚を理解した上で行うようにしていたそう。

 これまで大谷、佐々木朗など「球界の宝」と称される選手等を一流に育て上げた吉井氏のコーチングには、あくまでも「選手ファースト」の気持ちが根底にあったようだ。



「選手の嫌がることをしない」吉井理人氏が語る指導論の根底にあるものとは
https://news.yahoo.co.jp/articles/ae1d3d2d6dfb4041974484e49e3c2ae82f0f33e8