国民負担率を海外と比較するときは注意が必要だ。そもそも“国民負担率”という用語は、世界的に使われている言葉ではない。
直接対応する英語やフランス語はなく、日本独特の用語だ。日本では従来、租税と社会保障の負担を国民所得で割り算した数字を国民負担率としている。
これに対して、海外ではGDP比でみた租税や社会保障負担の指標(以下「GDP比の指標」という)を用いることが一般的だ。
財務省は、OECD(経済協力開発機構)加盟国のデータから、国民所得とGDPをベースにした2つの数字をそれぞれ計算し、各国の“国民負担率”として国際比較を公表している。


実際に、GDP比の指標の国際比較をみてみよう。
先ほどと同様に2020年(日本は2020年度) の数字で、日本33.5%、アメリカ26.1%、イギリス34.7%、ドイツ40.7%、スウェーデン36.7%、フランス47.7%となる。
各国とも国民所得ベースの国民負担率より数字が下がるが、日本の低下幅はスウェーデンやフランスよりも少ない。
https://i.imgur.com/Nqm0Wh9.jpg