――でも、生活が苦しい人たちの中にも、自己責任論を受け入れる人たちがいますよね。

たしかに、自己責任論はアンダークラスの人びとにもある程度まで浸透しています。「貧乏な自分」という現実がある中で、「自分は努力している」「自分には能力がある」と思い続けるのは難しいことです。矛盾と葛藤を抱え込むことになるからです。

しかし「自分は努力しなかったし能力がないんだからしかたがない」と考えてしまえば、現実を静かに受け入れることが可能になります。そのように自分を納得させてしまう人々が、アンダークラスの中に一定程度いるのは事実でしょう。