山上被告と木村容疑者を比較するのは当然かもしれないが、そんななか、読売新聞が公表した4月18日の社説が物議を醸している。

同社説では、街頭演説における安全確保について論じるうえで、

《昨年7月、安倍晋三元首相が銃撃された事件では、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題と絡め、被告に同情するような論調も一部に出て、警護の強化などの議論が十分に深められなかった》

と主張している。

「確かに、山上被告の生い立ちについては、事件当初から多くの報道がされました。

幼くして父親を亡くし、DVに悩んだ母親は旧統一教会に入信後、多額の献金で自己破産。献金額の合計は1億円を超えるとされます。山上被告は大学進学も断念し、3年間の海上自衛隊勤務を経て、アルバイトや派遣社員を転々としました。

事件後、統一教会そのものや、統一教会と密接な関係を持つ政治家に多くの批判が寄せられました」(事件担当記者)

こうした生い立ちに対し、一部から同情の声があがったのは確かだ。しかし、それとは別に、事件発生直後から、警護の不備についても多くの議論が巻き起こっていた。

「警官の人数は十分だったのか、このような襲撃に対応できる訓練をおこなえていたのかなど、さまざまな議論がありました。

それなのに、『読売新聞』の社説は、まるで統一教会への批判が起きたせいで、警護の強化が進まなかったと主張するような内容です。