2006 年から 2015 年の 10 年間にプロ野球一球団に所属した全選手 198 例を対象とした.
肉離れの診断は,病歴と局所の圧痛に加えて,全例 MRI所見に基づいて行った。

肉離れの発生は 10 年間で 72 件であり,年間4~18 件であった.
発生部位は,ハムストリング19 件(26.4%),腹斜筋 18 件(内腹斜筋 15 例,外腹斜筋 3 例)(25.0%),
内転筋 8 件(11.1%),下腿三頭筋 7 件(9.7%),大腿四頭筋 6 件(8.3%),臀筋群 3 件(4.2%),腱板筋 3 件(4.2%),広背筋 2件(2.8%),
大胸筋,大円筋,前腕屈筋群,腰方形筋,脊柱起立筋,大腿方形筋がそれぞれ 1 件(1.4%)であった。

腹斜筋肉離れに関して,2013~2015 年に発生した 7 件中,詳細を調査し得た 5 件は,全例が内腹斜筋を受傷しており,
打者 4 例(内野手 3 例,捕手 1 例),投手 1 例であった.
受傷月は打者が 4月 1 例,5 月 2 例,8 月 1 例,投手が 4 月であった.
受傷時は全例公式戦中で,打者が全例打撃時,投手が投球時であった.
受傷側は打者が全例非打撃側,投手が投球側であった.
復帰までの期間は打者 が 平 均 30.4 日(21~36 日),投 手 が 35日であった