厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は26日、2070年の日本の総人口が8700万人になるとする「将来推計人口」を発表した。
20年時点の1億2615万人の約7割に減る。昨年初めて80万人を割った出生数(外国人含む)は、43年に70万人を下回り、
70年には50万人に落ち込むなど17年実施の前回推計より減少ペースが加速。一方で、外国人は増加して将来的に総人口の1割になるとした。

 政府は6月の経済財政運営指針「骨太方針」の策定までに「子ども関連予算の倍増」に向けた大枠を示す予定。「異次元の少子化対策」により
「少子化トレンドを反転させる」(岸田文雄首相)としているが、困難さが浮き彫りになった。
 推計では、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」(20年は1.33)は近年の低迷を反映し、前回推計の65年に1.44から、
70年に1.36との推計になった。コロナ禍の婚姻数減などの影響で、22?28年は一時的に1.2台にまで落ち込むとした。
 一方、16?19年の外国人の急増を反映し、毎年増える外国人の数を、前回推計の年6万9000人ずつから年16万4000人ずつへと修正。
70年の総人口に占める外国人の割合は10.8%になるとした。

 出生数の減少を外国人の増加が打ち消すことで前回推計よりも人口減の進行はわずかに緩和される形になったが、
仮定通りに外国人が増えなかった場合、減少は加速することになる。
 年代別では、65歳以上の高齢者数は70年には約3400万人で、全体の38.7%となる。社会保障制度を担う働き手の中心となる15?64歳は、
20年の約7500万人から、70年には約4500万人に減少する。

 将来推計人口 国立社会保障・人口問題研究所が国勢調査等を基に5年に1度行っている推計。人口変動の3要因である「出生」「死亡」
「国際人口移動」を仮定し、50年後までの総人口(3カ月以上日本に住む労働者、留学生ら外国人を含む)や年齢構成の推移を示す。
出生と死亡はそれぞれ「中位」「高位」「低位」の3通りの仮定を置き、計9通りの推計を行う。出生、死亡とも「中位」が標準的な推計となる。
前回は2017年で、今回は新型コロナの影響で取りまとめが1年遅れ6年ぶり。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/246468