以下、藤浪のstatcastから読み取れることを思いつくままに述べてみます。かなり絶望的な内容です。
画像はMLB中の藤浪のパーセンタイル順位を一覧にしたものです。悪い方から順に1%→100%と100段階評価になってます。
まず目を引くのはfastball velocity(球速)が92%と上位なのに、fastball spinは1%、つまりMLBの下位1%以内に入る最低の回転量ということ。
しかも、この画像には出てないけど藤浪の4シームの回転効率(spin efficiency 又は active spin)はむしろ上位なんすよ。つまり綺麗なバックスピン寄りでジャイロ方向の傾きが少ない。
ジャイロ回転は変化量には寄与しないが、ジャイロ成分が多いほど初速と終速の差が小さくなるとされる。この点、藤浪の4シームはまずジャイロ成分が少ないから初速と終速の差が大きい。
でもジャイロ成分が少ない綺麗なバックスピンの速球って、その分だけホップ成分が多くなるんですよ。ホップする速球が打ちにくいことは江川卓や藤川球児を見たことある人ならみんな知ってると思うと思うけど、今季トレヴァー・バウアーで真打ちを目の当たりにすることになりそうですね。
でも藤浪の4シームは、回転の向きこそ綺麗なバックスピンだけど、そもそもの回転数が少なすぎるからホップしません。むしろMLB平均よりも垂れてきます。このように、藤浪の4シームは初速と終速の差も大きい上に軌道も垂れてくるという、かなり質の悪い速球なんですね。
このように、藤浪といえばノーコンのイメージが強いし実際ノーコンだけど、MLB水準ではボールの質も決して良くないということは押さえておきたいところ。イップスで制球が定まらないからどうこう(そこさえ何とかなれば)という話ではないんですよ。
その他のパーセンタイル順位を見てもまあまあ良いのはwhiff率(打者がスイングしたうちの空振り率)くらいで、他は全体的に悲惨だけど、chase rate(ボール球スイング率)の2%が特に酷いですね。ボール球を振らせることが全然できていない、すなわち完全に見極められてしまっているということです。
だから四球も当然多くなるし、バットに当てられたときは痛打されがちで平均打球速度も速いしハードヒット率も高い。打球に角度も付きやすくバレル率も高い。見ればわかるとおり、被打球の質を示す指標のパーセンタイル順位も全て下位です。これは藤浪の独り相撲ではなくて、普通に打ち頃だから打たれているということを示します。
これらを総合すると、xERA(運の要素を排除した実力相応の防御率的な指標)のパーセンタイル順位は下位6%だそうです。
マジでほぼいいところがない。お疲れ様!解散!って感じのスタッツですね。
https://i.imgur.com/qhGOTZF.jpg