魚価高はデータからも明らかだ。日本は2006年に水産物を約315万トン輸入していたが、2021年は220万トンと3割以上も落ち込んでいる。
反面、輸入金額はコロナ禍などで2020年は落ち込んだものの、上昇トレンドで推移している(財務省「貿易統計」)。
極洋の井上誠社長も「われわれは30年間、デフレにどっぷり浸かりすぎた。日本の食生活を守るためにも、
今後はインフレの中で勝負していくという考え方へ転換しなければならない」と危機感をあらわにする。
地球環境だけでなく、人為的な原因があるとの見方もある。
「日本近海での水産資源の枯渇については資源管理の甘さも要因。サバが不漁になったのは乱獲の影響も大きい」(極洋の井上社長)。
今後も魚価が下がる見込みは薄い。前出の水産大手幹部は「春先から仕入れシーズンが始まるが、1ドル130円程度の円安基調のため輸入価格は下がらない」と語る。
極洋の井上社長も「足元はカニやチリギン(チリ養殖の銀鮭)などの価格が崩れているが、あくまで相場のあや。
これからコロナ禍で眠っていた中国の需要も本格的に戻ってくる」と予想する。
国産の水産物についても「漁獲量が急激に回復することは考えにくい」(豊洲市場関係者)と期待薄だ。
「欧州ではマグロが資源回復しているしサバも獲れている。
日本も見習ってIQ(漁獲枠を漁業者または漁船ごとに配分する制度)を実施するなど、手立てを考える必要がある」(極洋の井上社長)

「サバ・サケも高騰」日本人が魚を食べなくなる日 日本の食卓に迫る、買い負けと漁獲量減の深刻