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eスポーツ チームとのスポンサー契約を忌避し始めたブランド各社:「ビッグチームとの契約すら、投資効果がまったくない」


多くのマーケターがスポンサーシップの弱点に気づくのは時間の問題だった。マーケティングエージェンシーのストライブスポンサーシップ(Strive Sponsorship)でマネジングディレクターを務めるマルフ・ミンズ氏は、eスポーツのスポンサーシップに対するブランドの意欲が「数年前と比べて増進したか、あるいは減退したか」という問いに対して、「明らかに減退した。eスポーツチームに限らず、eスポーツ全般についていえることだ」と答えている。


コストは増加するがリターンは変わらず

コンバージョンの追跡が大雑把なことも問題だが、近年、スポンサーにとって最大の障害となっているのはスポンサーシップ契約にかかるコストで、これは主にプレイヤーの報酬が高騰していることによる。

前掲のPCメーカーのマーケターによると、2019年から2020年あたりから、プレイヤーの報酬アップに引きずられ、eスポーツチームのスポンサーシップの契約金が多くのスポンサー候補が支払える金額を超えて高騰しはじめた。

この人物はこう話す。「eスポーツチームの成長と我々の業界の発展のあいだには、ある種のズレがある。eスポーツの構造には純粋に商業的なロジックが働いている。つまり、チームが成長する、人件費が増える、現実のスポーツチームを含め、新たなチームを買収する。スポンサーを探し、スポンサーの支援で利益を伸ばし、伸ばした利益で新たな投資をおこない、新たなプレイヤーと契約する」。

まさしく、歯止めの効かぬ滑り坂だ。プレイヤーの年俸が上がるにつれて、チームのスポンサーシップにかかる費用も、このPCメーカーが支払える金額を超えて上昇した。

これはBMWにも当てはまる話のようだ。この大手自動車メーカーは、長年にわたり、フナティック(Fnatic)、G2、クラウドナイン(Cloud9)ら、もっとも認知度の高いチームとスポンサー契約を結んできたが、昨年12月にeスポーツ団体のスポンサーシップから全面的に手を引いた。