三男からの突然の電話

――先日、息子さんの金銭トラブルで1700万円もの借金返済に追われているとの情報が、複数のメディアで報じられました。
経緯を詳しくお聞きしてもいいでしょうか。

林下 2年くらい前のことなんですけどね。ある日、三男から電話がかかってきたんです。「会社の金を使い込んじゃったんだけど、お父さんなんとかなりませんか」って。金額を聞くと、最初は1200万円だったんですよ。そこでとりあえず、「ちゃんと返すしかないだろう。まず頭下げるところにはきちんとお詫びしてまわれよ」と言ったんです。

ただ、普段は俺のことを「お父さん」なんて呼ぶことはないので、その時点で妙だなとは思っていたのですが、どうやらそのやり取りをスピーカーモードにして、会社の経営陣と一緒に聞いていたらしいんですね。すると、直後に今度は社長の方が出て、「今の会話に役員一同、感動しております」と言う。要は、一言も息子を怒らずにやるべきことを示した姿勢が素晴らしいと。

――確かに、1200万円という数字にさほど動じていないあたり、さすが肝が据っているといいますか。

林下 いや、びっくりはしましたよ。でも後の祭りですからね。幸い、その社長さんがいい人で、「息子さんはこの7年、寝食を忘れて働いてくれました。会社としてはお金さえ返してもらえれば大事にするつもりはありません」と言ってくれて。

 で、1200万円の返済計画を立てて、「じゃあ今月から頑張って返済を始めよう」と1回目を支払った翌日だったかな。息子が会社から500万円を持って失踪したんです。思わず唖然として、「やるねえ」とぼやいちゃいましたよ。

――なんと……。それでトータルの返済額が1700万円に。

林下 たぶん本人はその500万円を元手に、何かのギャンブルで一発逆転を狙ったんでしょうけど、なかなかそううまくはいかないですよね。

 仕方がないので家族で力を合わせて返済しています。長男がコンビニの正社員で社宅に住んでいるので、俺も許可をもらってそこに転がり込んで、2人の給料を合わせて毎月51万円ずつ返していました。それが今年の3月からは37万円になり、少し楽にはなったのですが、今度は俺がそれまでの仕事を辞めて無収入になったので、今は長男と四男で返してくれています。