あの人は今  元埼玉西武ライオンズ 山川穂高さん(34歳)

2026年、ワールドベースボールクラシック。 それをテレビで見つめる男がいた。
22歳で将来を嘱望され埼玉西武ライオンズへ入団した、山川穂高さんだ。
「あの頃は若かったですね(笑)」若き日を回想する山川穂高は、どこか寂しげだ。
「未だに当時の夢を見ることがあるんですよ。WBCで、俺が活躍する夢を」
山川さんは31歳の時に強制わいせつ致傷により起訴され執行猶予となるもののライオンズから戦力外通告を受けた。
今はソーキそば屋を営む傍ら、地元の少年野球のコーチを勤めている。
暖簾の屋号の文字は元ライオンズ、辻監督の手によるものだ。
「いらっしゃい」。花小金井駅から歩いて3分。
「ソーキそば あぐー」のえび茶色の暖簾をくぐって店内に入ると白いタオルを
頭に巻いた山川穂高さんと妻、麻衣子さんの元気な声に迎えられた。
「去年の4月にオープンしました。暖簾の『あぐー』という文字は辻さんに書いて
いただいたものだし、開店に合わせてスポーツ紙やテレビでも取り上げてもらった。
おかげで、県外から足を運んでくださるお客さんが多かったのはうれしかったですね」
山川さんは本当に嬉しそうに、僕たちに語ってくれた。
とはいえ、その分、プレッシャーも大きかったという。
「ソーキそば好きは飛行機に乗って本場・沖縄まで食べ歩きに出かける時代でしょ。
ボクが修業した立川の老舗『海辺』のものは白味噌がベースなのが特徴だからカツオととんこつだと信じ込んでる関東人にはモノ足りないようなんです。
それで怒られちゃったこともあるけどそれも修業のうち。我慢、我慢です」
かつてのライバルで現ドジャース所属の大谷について尋ねると…
「知ってます?彼からホームラン打った事もあったんですよ?」と、おどけ
「俺も事件さえ無ければって…歯がゆいですけど」
「今はもう現役に未練はありません。今度はこの、そばで日本一になれるよう、
がんばるだけです!」

(写真)たこ焼きを手に持つ山川さん