【よみがえるノムさんの金言】意味がないツーナッシングからの1球外し

今回も「ボール球」を取り上げる。ただし、焦点は「カウント」と「投手と打者の心理」。

「もう固定観念から脱却すべきだ。さも常識であるかのような、
ツーナッシングからの1球外し。そこには何の意味もない」

ノムさんは、0-2からの1球外しはV9時代の巨人で始まったとして、
当時の森捕手(元西武監督)から聞いた話を打ち明けた。

0-2から打たれると、ベンチで「なぜ有利なカウントから打たれる」と
叱責され、罰金を徴収されることもあった。どんなカウントでも、打た
れるときは打たれるものなのに、1-2としたあとに打たれた場合は、
おとがめなし。このため、1球外しが常套手段になったという。

「だから私は監督時代、ミーティングで告げた。0-2から打たれても
怒らないから、安易に1つ外すのはやめろ。無駄な球、意味のない
球を投げるな、と。1つボールを挟みたいのであれば、やはり全力で、
打者が手を出したくなる球をということ。1球ボールにすれば、
いいんでしょ。そこに投げれば、いいんでしょ。この思いに支配され、
肝心の勝負心(ごころ)が入らない。空振りを狙いにいく球と、
そこに投げるだけの球には、天と地ほどの差がある-。」