新井が唯一退場したエピソード
リクエストあったらな


新井と退場処分。
一見ご縁がなさそうな“珍事”が起きたのが、2003年6月5日の巨人戦(広島)。

広島が6対5と逆転に成功した直後の9回、巨人は阿部慎之助の右前安打で、一塁走者・斉藤宜之が三塁を狙うが、ライト・木村拓也が好返球。

サード・新井がスライディングしてくる斉藤の右足に両手でタッチしているのが、VTRにもハッキリ映っており、明らかにアウトだった。

ところが、吉本文弘三塁塁審の判定は「セーフ!」。

誤審に怒った新井は、同審判の胸を小突いて退場処分になってしまった。

実は、この事件には伏線があった。

この日は巨人有利の判定が相次ぎ、広島側は何度も悔しい思いをした。

8回にも先発・高橋建が降板した際に、ボールボーイに返球した行為が、「球審に向かって投げた」として、退場処分を受ける。

そして、“侮辱行為”の証言者となったのが吉本塁審だったのだ。

高橋退場劇の後味の悪さが覚めやらぬときに、今度は三塁タッチアウトをセーフにされ、さすがの新井も堪忍袋の緒が切れたようだ。

山本浩二監督も「あれだけ選手が怒るということは、主張したとおりなんや。

しっかり見てくれよ。

(新井の)グラブにスパイクの跡がついとる」と怒りをあらわにしたが、疑惑の判定については、ほとんど論議されることなく、新井は1試合出場停止の処分を受けた。

これが20年間で唯一の退場劇である。