街中の疑問
山の旅館なのに…なぜ夕食に「海の幸」が出るのか?

山奥の温泉旅館に泊まったのに、なぜか夕食はマグロや
イカの刺し身がてんこ盛りで……なんてことは全然珍しくない。
自宅近くの通いなれた居酒屋と変わらないメニューだ。
せっかく遠くまで足を運んでも、旅行気分すら満喫できない。
なぜ、山の旅館でも海の幸が出てくるのか。

「確かに内陸部の旅館ではマグロの刺し身などが定番です。
これは、それらの旅館が都会の客ではなく、地元の高齢者が
催す宴会に頼った経営をしているからです」

こう言うのは、高崎経済大学観光政策学科の井門隆夫准教授だ。

「イノシシ肉やシカ肉などのジビエや山菜の方が都会の客や
外国人客には喜ばれるし、仕入れ価格も冷凍海産物より安い。
旅館としても海の幸なんか出したくないのです。しかし地元の
高齢者に宴会で使ってもらうためには、無難な海の幸を出さ
ざるを得ない。遠方からの宿泊客にだけ山の幸を出す“二刀流”は、
仕入れや調理の手間やコストを考えると難しいのです」