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歓喜に沸くロッカールームでの取材中に突然話しかけられた。大谷翔平投手だった。

「おめでとうございます」

 いきなり渡されたのは、封のついた100万円の札束。
最初は何が起きたか分からず、動揺してキョロキョロと周りを見回してしまった。

大谷選手が噴き出した。大きな瞳を悪戯っぽく細めニッコリ微笑む。

「本物だと思いました?」

ここでようやく我に返った。分厚い札束に書かれた「見本銀行券 百万円」の文字。中身は完全なメモ帳だった。ただ、両手の手汗だけは止まらなかった。

 25歳の新人記者にとって、この日が初めてのメジャー取材。試合前のロッカールームで挨拶することができた。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では直接取材する機会はほとんどなく、この日が実質初対面だった。

 先輩記者に紹介してもらい、緊張しながらの挨拶。目を見ての自己紹介。名刺を差し出すと緊張が全身に走った。「よろしくお願いいたします」。
3歳年下の記者に対しても丁寧な敬語だったのは覚えている。メジャーを代表するスーパースターだが、聞いていた真摯な取材対応を感じることができた。


ロッカールームでは新人記者へ“ドッキリ大成功”した大谷選手は水原一平通訳、周囲の関係者を笑わせていた。

メジャー取材1日目で、まだ右も左も分からないが、なぜ世界中から愛されるのかが少し分かった気がした。