①厳重処分:警察としては起訴してほしい
②相当処分:警察としては起訴・不起訴どちらでも良い
③寛大処分:警察としては起訴猶予にしてやってほしい
④しかるべき処分:警察としては起訴できないと考える

ただし、この4つは慣行であって、犯罪捜査規範に定められているものではありません。犯罪捜査規範が定めているのは、あくまでも「犯罪の事実及び情状等に関する意見」を記載した書類を送れということだけです。

また、検察官の処分が、警察側の意見に拘束される理由はありませんから、この意見は、あくまでも参考です。

実務では、この「犯罪の事実及び情状等に関する意見」の記載欄に、「犯情悪質につき厳重なる処分を願いたい」とか「事案軽微につき寛大処分願いたい」などと紋切り型で画一的な記載がされる例もあります。

しかし、意見は、あくまでも検察官が処分の判断をする際の参考としてもらい、警察側の見方を反映してもらうために記載するのですから、当該事件の個別的な事情を具体的に指摘して意見を記載するべきだとされています(※前出「実例中心・捜査法解説(第3版補訂版)」367頁)。

いずれにしても、検察官送致における警察側の意見内容が検察官の判断を左右するものではありません。

書類送検の事案でも、検察官は送致された記録を読み、自ら被疑者や参考人を取り調べたうえで起訴・不起訴を判断しますから、「警察が起訴を希望しているから起訴する」「警察が起訴猶予が妥当と言っているから不起訴にする」ということは一切ないのです。

もっとも、警察側の意見といえども、何の根拠もなく記載しているわけではありませんし、ことに在宅事件の場合は、警察が時間をかけて捜査を行ったうえでの意見ですから、多くの場合、警察側と検察官の意見は一致すると思われます。

また、送致された記録を検察官が読む場合、まずは送致書を一瞥しますから、例えば、被害が軽微な事案であるにもかかわらず、厳重処分の意見がついていれば、当然に、理由は何だろうと、その点に関心を払って読み込むことになります。

ですから、警察の意見が検察官の注意を喚起する役割を担っていることも事実です。