阪神近本光司外野手(28)は8回にソロアーチを放った直後、ベンチ前で手を合わせた。目をつぶり、天に向かって感謝しているように見えた。

試合後には「あれは風っていうことで。自分(の力)じゃない」と明かした。

決してパワーヒッターではない男が、珍しくスタンドに視線を向けていた。2-2の同点の場面だった。「その打席、狙っていたので。打球を上げることを意識して入っていた」。

思い通り、右翼席最前列へ勝ち越しソロを決めた。「まさか入るとは。うまく風に乗ってくれたかな」。 そんな心境だったからこそ、ベンチ前で“儀式”を行った。22試合ぶりの3号で一時勝ち越し。延長10回にも勝ち越し劇につながる中前打で出塁していた。好調のリードオフマンは風も味方につけている。