――なぜ覚醒剤に手を出したのか

 田原:騎手を引退し調教師になってから歯車が狂っていった。騎手時代は問題が起きても真摯に馬に乗っていれば良かったが、生き方がヘタで白黒はっきりつけないと気が済まない性格の俺は調教師になってからはそれができなかった。理想と現実がかい離していき、その虚無感を埋めるために越えてはいけない線を越えてしまった。

――その後も2回、同じ過ちを犯した

 田原:一度越えてしまうと、あとは際限がなくなってしまった。恐ろしいことに、ダメになっていく自分を俯瞰しながら楽しむようになった。気がついたら遮断機が下りて出れなくなった。