母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね?

ええ、夏碓氷から霧積へゆくみちで、
渓谷へ落としたあの麦わら帽子ですよ。

母さん、あれは好きな帽子でしたよ。
僕はあの時、ずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから…。