こうしたDeNA批判の急先鋒は三木谷であり、さながら“反DeNA”の伝道師のように各球団のオーナーを訪ねては、
モバゲーがいかに危険か、いかに青少年犯罪を助長しているかを会議の直前まで説いて回った。11月21日には
東京・大手町の読売新聞本社にナベツネことグループ本社代表取締役会長・主筆の渡邉恒雄を訪ねている。渡
邉はTBS会長の井上弘に泣きつかれDeNAへの球団譲渡に一役買ったのだが、この時は三木谷の説明に何度も
うなずいては「俺はDeNAがいいなんて一度も言ってない」と繰り返し理解を示したという。

翌日、三木谷は大阪に飛び、阪神オーナーにもDeNAのビジネスの危うさを訴えている。関係者によると、DeNA株
のインサイダー疑惑を報じた本誌12月号を携えての訪問だったようだ。三木谷がDeNA批判の行脚に回った球団
は巨人、阪神以外にもソフトバンクやオリックスなど7、8球団に及んでいる。

三木谷はモバゲーがきっかけになった過去の犯罪事件や出会い系サイトとして利用されている具体例を記した分
厚い資料も持参していたようだが、ネット業界ではその行動を疑問視する声も多い。なぜならば、オーナー会議直
前に年内の閉鎖を検討すると発表しているものの、楽天も「前略プロフィール」という中高生を対象とするSNSを運
営しているからだ。「三木谷がやっていたSNSだって出会い系って批判されていた。自分は散々やってきてDeNAを
批判するのはおかしい」(IT業界関係者)といった声があるように、まさに自らを棚に上げての批判だったのだから
後味が悪い。

結局はDeNAに代わる企業もなく、時間もないことから加盟申請は認可された。だが、三木谷はマッチ1本でDeNAを
炎上させかねないだけのガソリンを撒いた。春田の笑顔とは裏腹に新生「横浜DeNAベイスターズ」を覆う暗雲は垂
れ込めたままだ。(敬称略)

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