掛野さんが「でもね、5分でわかる聡太みたいな人もいれば、2時間かけてもわからない子もいるから、私たちはその時によって合わせる基準を変えているんだよ」と説明すると、藤井はすぐに納得した。

 一方で、無邪気な子どもらしさも見せていた。休み時間はとにかくドッヂボール。読むのは電車の本。運動会ではリレーの選手で、サッカー部や野球部よりも俊足だった。運動部の同級生は掛野さんに「俺ら毎日練習してんのに、なんで聡太に負けんだよ」と不満を漏らす一方、すでに奨励会員だった藤井からは「できれば、宿題も学校で終わらせたいし、遊びも学校でやりたい。家では将棋に没頭したいから」と言われたという。


全然嫌なガキじゃないやん