【北京=三塚聖平】中国国家統計局は9日、5月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で0・2%上昇したと発表した。上昇率は前月から0・1ポイント拡大したものの、需要の弱さを背景にゼロ近くに留まる低水準が続く。市場関係者が「デフレ懸念」を指摘しているのに対し、中国当局は懸念払拭に躍起だ。

上昇率の拡大は4カ月ぶりだった。5月1日の労働節(メーデー)に合わせた大型連休で旅行需要が拡大したことを受け、旅行関連の価格は8・0%上昇した。それに対し、自動車などの「交通工具」は4・2%下落、スマートフォンなどの通信機器は2・1%下落した。「ゼロコロナ」政策の後遺症もあって雇用・所得環境は厳しく、庶民が高額品の購入を控えているという指摘がある。

変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数の上昇率は0・6%で、前月から0・1ポイント縮小した。

日米欧がインフレ圧力に直面している中、中国ではデフレへの警戒が強まっている。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は9日、中国のCPIについて「デフレのリスクは依然として経済の重荷になっている」との市場関係者の見方を伝えた。

統計局の付凌暉(ふりょうき)報道官は5月中旬の記者会見で、物価上昇率が低水準で推移しているのは「一時的」だという見解を示した上で「中国経済にデフレは起こっておらず、全体的に見て今後しばらく起こることもない」と強調した。

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