敵地、東京ドームで迎えた巨人戦
先発エンスが大量失点、打線も勢いを見せず惨敗だった
ドームに響くファンのため息、どこからか聞こえる「働け！働け！金子！」の声
無言で帰り始める選手達の中、キャプテン源田は独りベンチで泣いていた
WBCで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の西武で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」源田は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、源田ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」源田は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、源田はふと気付いた

「あれ・・・？お客さんがいる・・・？」
「ソウスケ、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った源田は目を疑った
「あ・・・浅村さん？」 「なんだゲン、居眠りでもしてたのか？」
「あ・・・秋山さん？」 「なんだ壮亮、かってに栄斗をFAさせやがって」
「森君・・・」 　源田は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
１番：秋山　２番：源田　３番：浅村　４番：？？　５番：森　６番：外崎　７番：栗山　８番：中村　９番：金子侑
「勝てる・・・勝てるんだ！」
木村からグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する源田、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌日、ベンチで冷たくなっている〇川が発見され、アグーと穂高は病院内で静かに息を引き取った