東洋経済は6月18日までに、関連する5つの事件のうち2件について、訴状などの事件記録を確認することができた。そこから見えてきたのは、キャラクターの育成システムという、ウマ娘のゲーム構成の根幹に焦点を当てた争いだ。

コナミは、1990年代から提供している『実況パワフルプロ野球』(パワプロ)シリーズを念頭に置いた育成ゲームのシステムやプログラムなどに関して、数多くの特許権を保有する。

訴状でコナミは、119ページにも上るウマ娘の「調査報告書」をベースに、これら自社が保有する特許の内容と、ウマ娘のシステムやプログラムを徹底的に比較している。

では訴状におけるコナミの主張の一部を見てみよう。

例えばコナミは、①主人公キャラクターなどのパラメータを変更または設定し育成するパートや、②その育成キャラクターを用いたパート、などからなるゲームシステムに関して特許権を有している。

このシステムと、ウマ娘における①シナリオに沿ったトレーニングなどで能力を引き上げ、キャラクターを育成する、②育成を終えたキャラクターは「殿堂入りウマ娘」として登録され、ほかのプレーヤーと対戦させる「チーム競技場」というゲーム内レースに使用することが可能、などといった要素が一致するため、特許権侵害に当たるとの主張だ。

ほかにもウマ娘では、育成中のキャラクターを一定の条件を持つ別のキャラクターと一緒に練習させると、スピードなどの特定のパラメータが大きく上昇する「サポート効果」という仕組みがある。訴状では、これも特許権侵害の対象と指摘している。

コナミは今回の損害賠償請求などについて、その権利の一部を行使したに過ぎず、「追って請求の拡張を予定している」と警告する。

対するサイゲームス側は「特許権を侵害している事実はない」とし、今後もウマ娘のサービスを提供していく方針を示している。コナミの提訴は3月31日付だが、今のところ第1回口頭弁論も行われておらず、今後の展開は見通しにくい。