かつて日米野球界でも活躍した韓国の大投手による思わぬ行動が波紋を呼んでいる。

 物議を醸したのは、KBO(韓国プロ野球)リーグの名門サムスン・ライオンズの守護神オ・スンファンのそれだ。

【動画】韓国球界で波紋! 元阪神オ・スンファンが見せた怒りのボール投げ入れ行動

 去る6月17日に行なわれたKTウィズ戦でチームが2点をリードしていた8回に登板したオ・スンファンは、先頭打者にバントヒットで出塁されると、続く打者にタイムリー二塁打を打たれてあっけなく失点。さらにバントで1死三塁というピンチを招いたところで交代を告げられる。

 ここで41歳の大ベテランはキレてしまった。抑えられなかった己への苛立ちか、はたまた7球で見切りをつけた監督への不満かは定かではない。しかし、ベンチに戻ろうとしたオ・スンファンは、レフトポール際の観客席に握りしめたボールを投げ込んだのだ。

 さらにベンチ内でもグローブを座席に叩きつけ、怒りを爆発させたオ・スンファン。チームの精神的支柱が見せた思わぬ行動が影響してか、逆転負け(5-6)。屈辱の5連敗となった。

 14年から2年に渡って阪神に在籍して80セーブを挙げたオ・スンファン。16年からメジャーリーグ(カージナルスとロッキーズ)でもプレーした剛腕は、元中日の岩瀬仁紀を抜くアジア記録の通算492セーブをマークしてきた百戦錬磨の名ストッパーだ。しかし、今季ここまでは防御率4.23、WHIP1.48と不振にあえぎ、守護神から配置転換もされていた。

「石仏」という異名を授かるように、オ・スンファンはいかなる局面でも感情を表に出さないクレバーなスタイルが真骨頂でもある。それだけに苛立ちを露わにする行動は、国内でも波紋を広げた。

 韓国メディア『OSEN』は「どんな時もポーカーフェイスを貫いてきた絶対的な守護神が、ああやって怒りの感情を爆発させた姿は珍しく、まったく異例の光景だった」と問題の場面を振り返ったうえで、「チームの最古参として考えるべき行動だった」と手厳しい批判を展開した。

 もっとも、チームの決断は早かった。翌日にオ・スンファンと「2人で面談を開いた」というパク・ジンマン監督は二軍降格を命令。その理由を次のように話している。

「若い選手が多いチームの雰囲気が落ち込んでいる状況だった。だからこそ、先輩として考え直すべき振る舞いだった。ただ、本人も知らず知らずのうちにそのような行動をしてしまったと話していた。選手の立場になってみれば、上手くいかなかったことにいら立つのはよくあることではある。しかし、ああいう手本にならない表現はよく考え直すべきだった。心身ともに落ち着いたら二軍からもう一度、上げるつもりだ」

 日米韓で数多の窮地を救ってきた名ストッパーは、今まさにキャリアの“ピンチ”を迎えていると言えそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4dc681aea6848173d19609f232828e627b10bf42