打撃不振の原因はさまざまあれど、ヤクルトOBが「ひとつの要因ではないか」と指摘するのが昨季9月12日のDeNA戦の死球だ。八回、左腕のエスコバーが投じた154キロの剛速球が右太ももを直撃。村上は苦悶に顔を歪めた。

 翌13日の巨人戦では1試合2本塁打で54、55号を放つも、その後は本塁打どころか安打すらパタリと止まった。56号を打ったのはシーズン最終戦の10月3日。55号以降は48打数7安打だった。

 前出のヤクルトOBは「エスコバーの死球以前から執拗に内角攻めをされていたが」と、こう指摘する。

「好調時と比べてなかなか前に踏み込めず、タイミングが取れない打席が少なくない。ひとつ間違えば大ケガにつながりかねない死球をモロに受けたことで、その残像が脳裏に焼き付いているのかもしれない。頭では『このままではいけない』と理解していても恐怖心はなかなか拭えません。20年の中日戦でも頭部死球を受けているし、まして、相手投手が剛速球左腕のエスコバーですから、なおさらです」

 四球数(46)は相変わらず多く、18日のオリックス戦では5月25日の阪神戦以来の猛打賞。まもなく再開するリーグ戦でチームが逆襲するには、村神様の復活が不可欠だが。