授業中の生徒が集中しているかどうかを、教師がリアルタイムで把握する。まるで漫画や小説の世界のような取り組みが、ある公立中学校で試験的に始まっている。生徒の脈拍から「集中度」を割り出しているといい、校長や教員からは、上手に活用すれば教育をより良くできると期待の声が上がる。

一方、使い方次第では子どもや教員の管理強化にもつながりかねない。現場を訪ねると、驚きの光景が広がっていた。

5月9日朝、埼玉県久喜市立鷲宮中学校の1年3組では、家庭科の授業が始まっていた。生徒31人の手首には、脈拍を測るリストバンド型の端末が巻かれている。「集中度」をほぼリアルタイムで把握できる日本初のシステムがこの日、初めて本格稼働した。保護者には概要を伝え、個人情報への配慮も説明。了解を得ているという。 

家庭科を担当する落合さやか教諭の端末の画面には、折れ線グラフが並ぶ。どの生徒の折れ線かは、氏名の一部と出席番号で表記。更新は1分おきで、授業開始からの変化が一目瞭然だ。 

この日の授業のテーマは「衣服を選ぶ際の留意点」。教諭の説明が終わり、生徒がインターネットや教科書から情報を集め、一人一人のパソコンでまとめる作業に入る。すると折れ線が全体的に右上を向いた。多くの生徒の「集中度」が上がっているようだ。 

教諭が手元の画面に目を落とす。先ほどまで高い集中度だったある男子生徒のグラフが急降下していた。教諭が近寄ると、既に作業を終えていた。「手持ち無沙汰だったのか」と気付き、追加の課題を出した。 

https://news.yahoo.co.jp/articles/8ad2010ecaa0c279e014640d39b6c33bda3e8adf