楽天の喫緊の課題は、携帯電話の契約者をいかに増やせるのかという一点に集約されている。年初まで朝会での話題の中心は、楽天グループ社員に1人5回線の携帯電話の契約のノルマを課した「紹介プログラム」だった。

 だが、2022年11月から23年1月末の3カ月にわたって実施した契約ノルマの成果は芳しくない。楽天モバイルの契約者は、22年9月末の454万件から同12月末に446万件に減少し、23年3月末には454万件にようやく回復した。グループ社員に過大なノルマを強要した割には、その効果は乏しかったと言わざるを得ない。

 それにもかかわらず、楽天ではノルマ強要の「第二弾」が実行されようとしている。それが、法人向け携帯サービス「楽天モバイル法人プラン」の推進施策である。

 この法人プランは、奇しくも“1人5回線のノルマ”終了のタイミングと重なる1月30日にスタート。5月頃から法人営業の推進体制の整備が本格化してきた。

 題して「楽天モバイル法人契約100万契約獲得プロジェクト」。楽天市場、楽天トラベル、楽天カードなどグループ内の事業部門を巻き込み、それらの取引先に営業攻勢をかけて携帯電話の契約を獲得するというもので、その営業手法は驚くほど強引なものだ。